福祉・介護の世界で生きていると、周りでなされている面接は”相手が変化するお手伝い”とはかけ離れたものばかりだと思います。
その中の職員はそれでいいと思っているし、”問題を解消し、変化を手伝うための面接”をする真の専門職に対して非合理的な非難を浴びせたりもします。
トレーニングで一定のレベルに達しても、職場でそういった圧力があると、どうしても多数派に同調せざるをえず、そして身に付けた本来のスキル、力を知らず知らずのうちに封印し、そして忘れてしまうのです。力あるものは、頭をたたかれますと、力を出さなくなります。
私はこんなふうにみなさんにお話ししました。
高速船というのは海にいる間は、船体にどれだけフジツボだとか色んな付着物がついているかどうかというのを伺い知ることができないそうです。ドックに戻り、海から上げてみて初めて把握できるものだ、と。
面接のスキルも高速船と同じです。どんなに上達しても、それを維持できているかどうか確認する”ドック”の場がなければ、自分のスキル劣化がわからない。
所属先が自己成長モデルの集団で、『福祉面接症候群』に侵されていないのであれば結構ですが、実際に私のトレーニングにお出でになるみなさんは孤軍奮闘の日々なわけです。
だからこそ危ない。
上級者のみなさんもご自身のメンテナンスとして継続的にお出で頂きたいものです。
30余年、トレーナーとして多くの業種、さまざまな年齢・キャリアの方とお会いしてきました。
そういった所属先のジャンルを問わず、上達する人というのは共通点があります。
上達するのは、素直に真似る、教わったことをやってみる、という姿勢の方たちです。「守破離」の”守”が第一歩であり、さらに大事なことは、”型”を身につける、基本を徹底して身につける、ということです。”破・離”はそれからです。得手勝手ではいけません。
そういう得手勝手な面接ではお手伝いするお相手の方が問題を解消されてらくーになる、とか、人生の次のステップに進まれていくという現象は起きないということです。
こうやって文章で私の考えを知り、理解・納得されるという学びもありますが、面接のスキルというのは面接場面の再現で身につくものです。トレーニングでは私がライブでスーパーバイズをしますが、それはどういうことかと言うと、ロールプレイ中にトレーナーが「こう言ってみて」と実際にクライエント役の方に発する言葉かけを私がやって見せ、それをトレーニーである面接者役の方が真似て頂きます。面接の”感じ”を直に捉えてもらうものなのです。
自分だけでなく、他の参加者がスーパーバイズされているところを観察して学習するというのも大変有意義です。ぜひ、相手が問題を解消し、変化・成長されるような面接というのはコレなんだというのをしっかり身に付けて、あるいは思い出してお帰りください。
面接のスキルは、本や解説や大学・専門学校などの教材演習では、まったく身につかないのです。身につくのは、やってみる、やってみせる、という体験型だけです。
ご参加のみなさんは、また来月もお会いしましょう。
堀之内高久
◆事務局よりお知らせ①◆
「福祉・介護専門職プロ講座」は全4回のシリーズですが、各回ごとのご参加が可能です。
お申込みは こちら からお願いします。
■対象となる方
福祉・介護領域の対人援助職で、特に日常業務で人材育成に携わっている方にお勧めです。
■日程(時間はすべて10時開始~16時終了)
第1回 3月16日(土)※終了しました
第2回 4月13日(土)※終了しました
第3回 5月11日(土)
第4回 6月15日(土)
■会場
品川区立総合区民会館きゅりあん
JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線 大井町駅下車。徒歩1分
■受講費
全4回 105,300円(税込)
1回 31,320円(税込)
◆事務局よりお知らせ②◆
今年もBeingワークショップを7~8月にかけて
全国5ヶ所(雫石、箱根、宮崎、 淡路、広島)で開催いたします。
すでにお申し込み受付を開始しております。
詳しくは こちら をご覧ください。
※お陰さまで宮崎会場はすでにお申し込みが定員に達しました。キャンセル待ちとなっておりますので、ご了承くださいませ。
◆事務局よりお知らせ③◆
『援助専門家向け研修』の開催が決定しました。
5月18日(土)に大分で開催します。詳しくは こちら をご覧ください。