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「いきいき塾」という深層学習の場で生じる知の探求とは? 今年1回目の「いきいき塾」を開催しました。(2月15日)

こんにちは。堀之内です。

今回も新規メンバーを迎え、今年1回目の「いきいき塾」を2月5日(火)に開催しました。

「いきいき塾」を始めて、早15年。

経営者の方の熱心な想い…

 もっと成功したい。

 優秀な部下を育てたい。

 家族、社員を幸せにしたい。

それに応えるためには、年に一度のBeingワークショップだけでは追いつかないところも多々あります。

日々の細かな出来事・反応・現象に太刀打ちするためのトレーニングの必要性を感じ、隔月で年5回、「いきいき塾」を会員制サポートコースのメンバーを対象に開催するようになりました。

経営者ご自身だけでなく、幹部社員、そしてこれからの活躍が期待される若手社員と一緒に参加されるメンバーも当初からいらっしゃいます。

優秀な経営者が、ご自身が成功するだけでなく、部下を成長させ、成功させる力をつけられてきているのを見るのは、毎回の楽しみです。

そして、いつも新鮮な課題に向き合われ、それをお持ちになってご参加くださるので、私も”次は何を提供しようか”と、非常に活性化される会となっています。

会員制サポートでは、個別メンタリング等で継続的にその方のテーマに合ったトレーニングを行っています。「いきいき塾」で2か月ごとに20~30名ほどのメンバーが集まると、不思議とその時ごとのトレンドと言うか、全く違う業種・業態の組織なのに、似たような問題が同じ時期に勃発するということがよくあります。

そういったユングの言うようなシンクロニシティ(共時性)が現象化するというのも、私から見ると、より深い心の層へのアプローチ故、当然という感じもあります。

というわけで、取り上げるテーマはメンバーに直近で起きた”解消したいこと”を元にしていることが多くなります。

もちろん私の気がどうしても惹かれる時事ネタを盛り込みたくなることもありますが、そこは、皆さんのニーズにお応えしつつ、やっています。

それで、初めのころはBeingワークショップでは直接的に取り扱わないスキル的なこと、心の階層でいくと第一層(行動課題)と第二層(感情・思考課題)への具体的な対処法をお示しすることが多くなっていました。

そういう心の階層レベルをどう理解したらいいかという枠組みをお教えし、対処のためのテクニックを練習して頂くようにしていました。とにかく、今日(あるいは次の日)会社(あるいは家)に戻ったとき、これまでうまくいかなかった方法をやめ、新しいやり方を始めていただけるような場になるようにしていました。

ただ、年数を重ねてくると、どうしても第一~二層レベルで収まらないような気づきを持たれる方が増えてきまました。これもみなさんの研鑽の結果ではあるのですが。

それで、近頃は時折思いついて、第三層(セルフ;愛と意思の課題)や第四層(ハイヤーセルフ課題)を取り入れながら展開することもあります。

今回は「知の探究」というキーワードで事前準備をしてみました。

本当の意味での「知」というのは、単純な知識量、情報量とイコールではありません。ノウハウだけを次々に獲得しても、実際に目の前で起きる現象に対応できる力を発揮することにはつながらないのです。そういった力はあんぐりと口を開け、教えられたことを鵜のように飲み込んでいるだけでは身につかない。知の力が発揮されるためには、自分で自分の内面、心の深層を探るプロセスが必要なのです。自分の足で自分の内面を歩いてみて、その感触をつかむという体験が、自分ではない誰かの心の深いにアクセスするための糧になるのです。

心の浅い層は、言動を観察・分析したり、あるいは相手に「どういうこと?」と尋ねてみることで理解を深めることができますが、心の深い層は本人自身も「こう」と言い切ることのできないような世界です。だからこそ、すでに自分の内面を探索した経験だけが、他の誰かの内面探索のガイドとなります。

メンバーのみなさんはすでに多くを学ばれている。そして、それに見合うように、次の難題が起きている。つまりこれは、すでに得た横方向の「知」を活かすために、縦方向の深化が迫られている時期を迎えられているということだ、とピンときたので、今回はちょっと実験的な取り組みをしました。

心の第三層~第四層レベルへのアプローチは、個人ワークにしろ、グループでのワークにしろ、イメージを使っていくものですから、そこを合理的に、左脳的に、理論立てて理解していくというのはまあまあ難しいものですが、とにかくやってみていただきました。

Beingワークショップや個人ワークでは、その場にいる人全員がそのワークの参加者になるので、ある意味、そのプロセスに没入していてよいのですが、じゃあその手法や考え方を日頃の部下指導や家族関係に活かせるように学ぶとなると、どうしても没入したままではいられません。

なので、体験に半分没入しつつ、もう半分の自分は客観視を保つというような訓練にもなったかと思います。右脳的なことを左脳的に学ぶといったらいいでしょうか。少し混沌とした体験になった方もいらっしゃったように見受けました。

どうしても横方向の知識の習得というのが学びのパターンとして定着してしまっていると、正誤がはっきりしている(○か×か)とか、公式に当てはめてスッキリ片付くとか、そういった物の見方になりやすい。その方が単純でラクですから。

世に流布している多くのコミュニケーションスキルのトレーニングやコンサルティングのノウハウはうまくパッケージ化されていて、短期的には達成感を味わえます。ですが、心の第一層、よくて第二層くらいまでしか扱えない。そこから先の深い部分は、浅い部分と同じやり方では開発できません。そして、達成感だけではない、複雑な味わいのある世界です。そういう”序章”みたいなところをご提供できたかなと思います。

質疑応答もなかなか盛況でした。積極的な参加に、私はいつも尊敬の念を抱いています。

終了後に、スタッフからこんなふうに言われました。

「もしあの質問を別の方がされていたら、堀之内先生はきっと全く別の答えを仰っていたでしょうね。」

そうなのです。これが心の第一~二層レベルではない学びなのです。パッケージ化された学びであれば、どなたがお出でになっても講師の答えは一つだけ。正解は一つです。

第三~四層の学びはどうか。答えはその人ごとにあります。一見するとただの”質疑応答”でしょう。しかし、その方の深い部分から発せられている問いであることに反応できる講師は、一つの正解を与えて終わりにすることはしません。そうしようとしてそうなるというより、深い層でペーシングができていると、そうすることが当然といった感覚です。

こういう質疑応答の場を体験し、他の誰かが講師との質疑応答をしている姿を間近で見ていることも、大きな原動力になります。自分に必要な答えを得られて満足されている様子に「あ、いいなー」というよう感じがすると、それまでそういった習慣がなかった方も、ご自身で問いを発するという工夫が始まります。

禅問答のように、質問者と講師の間でだけ大きな納得、満足があって、周りは放っておかれたような気分でしょう。自分が大切に扱われていない、あの人には時間を割いて説明しているのに、自分には十分な時間を割かない・・・という不満をお持ちになる方もおられることと思います。その時のそういったちょっとしたストレスが、人間を鍛えることになると思っています。

「それってどういうことなんだ?」という頭の中の自分のクエスチョンと、目の前で回答を得て満足している質問者。そういうなかで生じるちょっとした不満・不協和が、自分で問いを生み出す力になっていくのではないでしょうか。

これもまたグループの力ですね。そして、禅問答のような他者のやり取りに第三~四層の心の働きを感じ、そこに自分が直に満足を得られているわけではなくとも、その動きを共に感じ続けるという体験も、知の探究そのものと言えます。それこそ、いきいき塾の目指す気づきと鍛錬の真髄と思っています。

とは言え、学びは常に新たな流れがあり、いつも、ずっと、こういう学び方だけをするというわけではありません。
次回はまた次回のテーマとなることでしょう。
メンバーの皆さんとはまた4月にお会いできることを楽しみにしています。取り組みたい事柄がありましたら、どうぞ積極的にお知らせください。

堀之内高久

新プログラム「0.5歩サーバントメンター講座」を開催しました。(2月26日)

こんにちは。堀之内です。

日々、私たちは進化しています。継続して受講なさる方々の様子、そして新しく学ばれ始めた方々の様子を拝見していて、やはりトレーニングへのニーズというのは「ご本人の成長」や「世の中の変化」で移り変わるものですから、一定の期間が経つと私も自分のトレーニングが古くなってきているなーという感じになってきまして、リニューアルしようという気が湧いてきます。

 なので、私の提供するトレーニングも、大枠というか主たる筋には変わりないのですが、組織の幹部、管理職の方々に向けのプログラムを見直し、「0.5歩サーバントメンター講座」を開講することにしました。

先日、その第1期を開催しました。

 さて、一番の変更点は、どういう点だったと思われますか?

 それは、私が多くの質問をするということです。質問といっても、知識を問うものではありません。その質問によって、受講者が”懸命に考える”という状態が作られるような、そういう質問です。参加者に「気づき」を促し、「思考する力」を鍛錬します。

こういったトレーニングは初めての試みでしたが、非常に大きな手応えを感じました。

 一言でいうと、今回のトレーニングで学んで頂いたのは、クリエイティブな発想の開発です。それから、これを達成するために、どういうことをすればすでにご自身が持っているスキルを磨けるか、体験的に気づきを得て頂いたということです。

そのような気づきのために、私のこれまでのトレーニングと変わらず、少人数グループでのロールプレイとその録画のふりかえりという核となる手法は継続しています。

ただ、「どういうことをすればいいのか?」を徹底して考えるという要素を強調していくことで、新しいスタイルの鍛錬となるわけです。

 「考えてごらん」

 そうすると、受講者が考えだしたものが私の発想と違うという事態が起きるのは当たり前。だとしても、それが大切にされ、トレーニングが展開されていくという感じが受講者にはおありだったのではないでしょうか。

発想を制限しないで考えさせていくと、初めはおっかなびっくりでも、次第にグループごとに独自の発想が豊かに噴出し始めます。

「自分はこう思う」という表現できるようになり、また他のメンバーの意見を聞いたり、ロールプレイを観察することで新しい考えを持ち、次の「自分は今はこう思う」を創り出す。それを繰り返していくと、受講者がご自分でご自分に一番ピッタリくる発想と表現を確立していかれるわけですが、こうなってくると一種の「アーティスト集団」と言えるでしょう。

部下集団というのも、このトレーニングのグループの根本的には同じです。メンバーの性格も能力もバラバラで、それぞれの特長を有しています。彼らが発信、アウトプットするものというのは即興的な面が大きいのです。ですから、部下を指導するときに必要なのは、このようなアーティスト集団を活性化する力なので、上司側の即興性というのがとても大事になってきます。

 とすると、即興的な能力を上司が身につけるためには、どうしたらよいか?

 真っ先に言えるのは、講師が一方的に話すというセミナー形式のトレーニングでは無理なのです。従来の幹部社員の教育というのは”ある考え方を覚えさせる”というスタイルですが、これはせっかく多くの経験を積み、サバイバルに成功してきた幹部社員たちの”経験値”がまったく活かされない。もったいない。

 その”経験値”を自分でどう使っていくかというスキルを磨く練習が0.5歩サーバントメンター講座の肝です。

すでに得た知識、経験値をフル動員するような状況を与えるというのは、実務ではリスクが大きく、恐れがあるかもしれません。だからこそ研修という安全な場で、失敗ややり直し、試行錯誤が自由にできる機会が必要なのです。そして、安全な環境でいろんなお試しをすることが、ご自身の知識・経験値のブラッシュアップになっていく。そういう勉強をして頂いたというわけです。

 こういう形でブラッシュアップされてくると、各メンバーの気づきの力が強まっていくので問題に対して敏感になっていきます。そして、その問題を避けないでしっかりと向き合うことが始まります。

受講して自分の問題の一番大きな部分としては、「自分の力量」についての気づきということになるかもしれません。

「ああ、自分には能力がないなあ」

「これまでずーっと誤魔化しながらやってきたなあ」

「こんなに自信がなかったんだなあ」

こんなふうに心の中の未処理の問題に気づき、向き合うようにトレーナー(メンター)が導きます。

従来の講師が一方的に伝える知識伝達型・思考の枠組み強要型の研修ではトレーナーのフィードバックは「正しいor誤り」しかない。

 私の言うサーバントメンター型のトレーナーは、メンバーが手探りで”鉱脈”を自分で考えながら捜し当てるプロセスを尊重します。

 なぜこんなことをするのでしょうか?

トレーニングで一番頑張るべきは誰でしょう?

それは受講者です。トレーナーは受講者が目標を達成できるように支え導くサーバントとなります。

その構造は職場と同じです。つまり、会社という組織は社員を支え導くサーバントとなり、社員が思考・学習する集団となるように成長させていく機能が必要です。

受講者にお題を与え、とことん考えてもらっている間、トレーナーである私が寝てしまっていてもよいほど、受講者は集中していました。受講者の皆さんは2日間のトレーニングだったけれども、半日くらいにしか感じられなかったのではないでしょうか。それくらい、自分で考えて前進するというのはクリエイティブな時間です。

日本の家庭・学校では知識伝達型・思考の枠組み強要型の育て方が主流ですから、子どものころからそういったクリエイティブに思考する体験が少ない。そのまま社会に出て、組織の一員になって、いつまでも教わったことをやるだけで、自分で考えて行動しようとしないということになっています。そして自分で考えると叱られたりもしますから、考えるというクリエイティブな作業に対してネガティブなイメージがこびりついいる方が多いのですが、十分に成熟した大人、特に組織で幹部職員・管理職をなさっているような方であれば、考えるという取り組みの面白さを体験しさえすれば、あとは自発的に再現できるようになるのです。

もちろんトレーナーである私がしっかり導く役割を果たしてはいるのですが、考えて動き出す役割である受講者がそれに取り組んでいる間は、私はそれを妨げないでいるだけでよい。だからトレーナーは例え寝てしまっても問題ないのです。

実際に私がお手伝いしているある企業では、組織を学習する集団に成長させることに大成功されています。

社員一人ひとりの経験値を活かす会社は伸びます。私がトレーナーとしてやっているように会社が社員が”考える”ことを妨げず、むしろ推奨し、鍛錬の機会を提供していくと、私のトレーニングで受講者が変化・成長するように、会社が社員を変化・成長させるのです。

なので、トレーニングにお出で頂いて、私がやっていることをモデルにしているだけで、知らず知らずのうちに、あるいは意識的に、組織を学習する集団に変えていく力のあるメンターが育っていくでしょう。

実際の事例については、またの機会に詳しくお伝えできればと思います。

さて、一番まずい管理職の育成方法は何だと思いますか? 

それは答えを教えること。答えを教えること(指示すること)がリーダーの役割とする古典的スタイルがまだあります。

答えではなく、その解き方を編み出すという経験を教えることこそ、学習する組織作りのコアです。

ただ、考えるという作業を限られた引き出しだけを使っていては、豊かな発想はもたらされない。なので、すでに編み出されているコミュニケーションのスキルを正しく学び、受講者がご自身のスキルや理解を修正するために必要なフィードバックも必要です。

私の行ってきた旧プログラムと同様に、スキルの講義と、もっと観察すべきポイントや言葉かけのバリエーションをロールプレイ中または後にフィードバックするというステップもありますので、ご安心ください。

サーバントリーダーについての著書はまあまあ出ていて、そこで説明されている概念はよくわかる。でも、具体的にどのように組織や管理職がサーバント的であればよいのかは、具体的な育成プログラムやスキルは示されていません。

私はサーバントリーダー論の具体的手法として、今回の新プログラムがそれに答えを出していると感じています。

第1期0.5歩サーバントメンター講座は、2・3・4月(それぞれ連続2日間、合計6日間)を1クールとしています。受講者の皆さんにはご自身でトレーニングカルテも作成して頂いて、宿題もご自身で考えて頂きました。さて、どんな変化があるでしょうか。

受講者の皆さんとは来月またお会いできることを楽しみにしております。

 堀之内高久

2019年 第1期 福祉・介護専門職プロ講座が始まりました。(3月23日)

こんにちは。堀之内です。

 先日、「福祉・介護専門職プロ講座」を開講しました。お久しぶりの方々も、初めましての方々も、常連の方々も、全国からお集まり頂きました。
参加者の熱心な学びとチャレンジに、私はいつも尊敬をもってトレーニングに臨んでいます。

この講座はBeingワークショップに次いで、私がこれまで一番長く開講しているシリーズです。
  以前、ブログでも少し触れましたが(こちら)、私は自分で学んだ心理療法の手法をクライエントに使っていくということだけでなく、他の専門職の方々に教えてこそ身に付くものだと考えていました。

国谷誠朗先生、エリック・マーカス先生の元でトレーニングを重ね、もう30年も前のことですが出来る限りを録音・録画し、それを自分で何度も繰り返し見直し、聞き直すということをしてきました。
そうしているうちに、そういったノウハウをお知りになりたいという専門家の皆さんと出会い、呼ばれて講師をしたりするうちに、自分自身の未解決な内的課題を取り扱うBeingワークショップという形もできあがっていきましたが、一方でやはり基本的なスキルトレーニングというのも必要とされていました。

老人ホームで出会った介護職の皆さんの燃え尽き。福祉分野や家庭裁判所で虐待など家族の問題を背景に抱えるケースに向き合われていた方々。
目の前の問題は大きく、多く、忙殺される厳しい環境です。

そこで、 必要に迫られて「ケアする人をケアする」というアプローチが始まりました。

 そういう専門職の自分を支えるものとしてペーシング、直面化とねぎらいといったスキルトレーニングと、ケースをどう見立てて介入していくかという戦略の立て方を、ロールプレイを通じて磨いていくという場を求める方々が集われてきました。
 その取り組みは、中部圏では、公的に福祉職向けの体系的なトレーニングとして、また、関東圏でも公的なトレーニングとして確立されています。

 講座の名前は時折り変わってきましたけれど、基本的にはロールプレイです。
ご承知のようにロールプレイは、面接の手続きを身につけるものです。大事なことは、習得の際のフィードバックに質です。ただやってみただけでは、まったく身につきません。

 私の大学・大学院などでの教え子たちがトレーナーとしてロールプレイをその場でサポートしたり、面接のビデオを撮って、すぐに見返すといったフィードバックが適切でなければなりません。

 さて、参加者の皆さんは力をつけられ、各施設で管理職になられ、福祉職者のキャリアアップに貢献してきました。大学教員、施設長、経営者などなっていかれた方も多くおられます。それが、私にとってもトレーニングの効果を実感できて、結構なことと思っています。

 これらの経験から、近年は直接クライエント(利用者さん、入居者さん)に対応するためのスキルだけでなく、部下指導に必要な要素も取り入れて拡大してきました。

 受講者が自分で学んだものを他の方が使えるようにトレーニングの場を提供したように、受講者の皆さんが私の元で学ばれたことを職場に持ち帰られ、それぞれのフィールドに合う形で教え、導く立場になられているという「研修転移」の担い手になっていかれることは、大変喜ばしいものと感じています。

 それに加え、おもしろいことに、これまで参加されていた方の事業を継承するために、新たに私の元に学びに来られるという第三世代の参加者も、今回初めてお出ででした。30数年、このようなトレーニングを続けてきて、私も新たなステージに入っているなと感じます。

 私自身のスタイルというのはかなり確立されてきているのですが、やはりオーダーメイドが基本です。
 長い間、継続的に学ばれている方も、初学者も、全く違ったニーズがあります。同じようにロールプレイの課題をやっても、全然違う気づきや問題意識で取り組まれますし、私への質問も様々な次元で飛んできます。
 経験者はロールプレイのふりかえりで、私(堀之内)のスーパーバイズを元に自分の逐語録を作り変えるという「セルフメイド」で自分の次の目標設定までなさいます。初学者は、自分たちのイエス・セットがうまくいっていたかを丁寧にふりかえります。

 こう書くと、全然違うレベルだとちゃんと学べないと思う人もいるかもしれませんが、それは違います。その両方が一つのグループで学ばれているところで生まれる気づきというのが、実はとても大きい要素だと思います。

 初学者は経験者の存在がよいモデルとなり、目の前にあるゴールだけでなく、学びを続けた先にある姿を知ることができます。そして、経験者は初学者のよいモデルとして機能することが、私から学ぶという以上にご自身のステップアップになるでしょう。

 さらに、私がいろんな次元の学びにどう応じていくか、それこそライブで目にして頂くことができるのがこの講座ならではのチャンスだと思います。
私自身も、各回で生まれるこういう相互作用を楽しんで、トレーナーをしています。

また来月も開講します。お会いしましょう。

◆事務局よりお知らせ◆

福祉・介護専門職プロ講座」は全4回のシリーズですが、各回ごとのご参加が可能です。

 お申込みは こちら からお願いします。

■対象となる方

 福祉・介護領域の対人援助職で、特に日常業務で人材育成に携わっている方にお勧めです。

■日程 (時間はすべて10時開始~16時終了)

 第1回 3月16日(土)※終了しました
 第2回 4月13日(土)
 第3回 5月11日(土)
 第4回 6月15日(土)

■会場

 品川区立総合区民会館きゅりあん
   JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線 大井町駅下車。徒歩1分

■受講費

 全4回 105,300円(税込)
  1回   31,320円(税込)

「第一期 0.5歩サーバントメンター講座」で思うこと。—上質なフィードバックが人を育てるということ—(4月5日)

こんにちは。堀之内です。

  2月にスタートした「0.5歩サーバントメンター講座」は1泊2日で毎月開催し、3セットで修了となるように計画しました。
 もちろん基本となる構想はありますが(2月26日ブログ)、参加者の皆さんのニーズや変化の様子をよく拝見し、オーダーメイドでプログラムを作っていきます。

  第一回(前月)には思考・発想を豊かにするためのに「気づき」の力を刺激しました。今回はそれをふまえて、ロールプレイでの実践練習に集中しました。

  参加者の皆さんは職場にお戻りになって、ご自分の変化をどうお感じになっていますか?

なぜロールプレイだけではだめで、気づきや録画が必要なのか?

  そもそもロールプレイとは習ったスキルを使ってみる、手順を身につける、という練習の機会ですが、練習しただけでは、まったく身につきません。
 私のトレーニングでは大分前からビデオにとり、録画をすぐに再生して見るための機材を用意しています。このフィードバックは必須であり、フィードバックの質が大切で、そこに価値があるのです。

  ロールプレイでスキルを使ってみた、練習した。「ああ、こういうものか。わかった、じゃあ実際に使ってみよう」というしても、たいていは、本番の面接ではうまくいきません。なぜなら、わかった気になっただけのことが多いからです。

  いわゆるセミナーや研修というものはどんな時代にもあるもので、今まではこれ、次はこれ、とあちこちでトレーニング・ショッパーが生み出されています。新しいセミナーがあると聞けば、行けば何かあるかもという期待や焦りを抱き、そして受講したら「自分は勉強したんだ」という満足感に浸れます。わかった気になって、しかし、実際は何の力もついていない、ということが頻発していると思います。

  もし、いっぱい学んでいるのに実力がないと感じているとしたら、それはトレーニング方法とフィードバックの質の悪さがあるからです。

 あなたは実際にそのセミナーでできるようになりましたか?
 実力がついていると自信を持ってクライエントの方にいえますか?

 さて、ビジネスの世界での多くのセミナーというのは中身・コンテンツが移り変わるだけで、学び方自体は広がっていくものではありません。そして、はっきり申し上げて、新しい学び方や成長の仕方、研修転移といった新しいスキルを自分で職場で使えるようになるお手伝いはしてくれません。

  私もかれこれ30年以上、トレーナーをやってきました。ご縁があって1日限りの講師という形でお教えすることもありますが、自分で開催しているトレーニングではすぐに使えるようになることに注力してきました。なので、トレーニング会場ですぐに録画・再生ができるような機材は今でこそ価格面でも持ち運びという面でも楽に用意できるようになりましたが、こういう時代が来る前から私はこのフィードバックスタイルでやってきたという自負があります。

 それから、こういったトレーニングには心理的なケアも含めてトレーナーがリードしていく必要があります。一言で表するなら、Beingの支えです。
 今回もロールプレイに入る前にちょっとした工夫をしました。内面の安定を高めるように、すでに今のご自身を支えている心の中の何かとのつながりを再確認できるようなワークです。

  さて、心理でも医療でも福祉でも、援助者の養成には時間がかかります。誰もが最初はビギナーです。
 組織内で幹部社員を育てていくといっても、誰でも最初は新人です。

 それでもクライエント、患者、利用者、お客様の話を聞き、その方の変化と成長を助けるようなかかわりが求められるわけです。責任ある立場となります。ですから、関わる側は、しっかりと鍛錬する必要があり、わかったレベルではなく、できるレベルに到達するための質の高いトレーニングを受ける必要があります。

 本講座でも参加者の皆さんにご自分がロールプレイ面接をされたすぐ直後に、グループでその録画を見直して頂きました。

 ちなみに、ご自分でビデオを持参され、面接の録画とは別に動画で記録をされることも私は歓迎しています。ご自身がふりかえるというステップが成長のためにとても大事ですから、そのための材料はいくらでも提供したいと思うからです。

 そうやってふりかえることで、自分が習ったことをやってみてどうだったか、それを整理することで力がつくというのが、私が長年トレーニングを開催してきてたどり着いたスタイルです。

  昔は研修をやる、トレーナーをするとなると、あれもこれも教えたいことがあるものですから、本当にたくさんのことを詰め込んで“濃縮タイプ”でやっていました。

 お出でになった方たちが早く上手になってほしかったですし、上手な面接で早くクライエントが問題を解消できるようにお手伝いしたい、という一心でした。従来型の面接スタイルでは、だらだらと時間をかけてしまい、そんなことをしていたら一体いつ問題解決後の人生を始められるのか…というくらいの想いでした。

 ただ、やはり人が新たな気づきを得て、変化するには一度にたくさんの課題に取り組むのは遠回りだと経験しました。なので、テーマを絞って集中的に取り組んでいただくというトレーニングスタイルで今はやっています。

  自分の面接をふりかえるというのは初めは粗ばかり見えてきて、それでいて何をどうふりかえってよいのかもわからないですから、そういうスタイルで学び、気づくというのはしんどいものです。
 ですが、「0.5歩サーバントメンター講座」のようにグループで学ぶことが支えになります。ロールプレイをした相手、小グループ、全体で面接を見直すとご自身の気づきの外側からフィードバックを得られます。そして、落ち着いて面接を見直しているときに、もっと違う言葉がけを思いついたりするのですが、それをロールプレイの相手役に「このとき、こういう言い方をしていたら、どうでしたか?」と確認することもできます。そのときにお相手から「そう!そう言ってくれたら、もっと話したくなる!」というようなフィードバックを頂けると、ああ、こういう感触でOKなのだという深い身体感覚レベルでの習得ができるのです。

 こういったフィードバックは、リアルな面接場面では相手から頂ける機会はありません。さらに、自分自身が面接の練習相手になることで、面接をされる側の感覚を身をもって知るでしょう。いろんなメンター役の面接を受けるうちに、上手なメンターとの面談で自分の問題が解決・解消していくプロセスの「感じ」もわかるようになるでしょう。

 こういう実感があるからこそ、物心ともにハードなトレーニングでありながら、再受講したいというリピーターの方が多くお出でになり、そして経営者の皆さんが社員を派遣されたいと思われるのでしょう。

 すでに私がお手伝いしているいくつかの企業では、こういったトレーニングを通じて組織を”学習する集団”に作りあげることに成功しています。近いうちに、このブログでもご紹介できると思います。

 今期の0.5歩サーバントメンター講座は残すところあと1セットとなりました。受講者の皆さんとは来月またお会いできることを楽しみにしております。

 第2期の開催は秋を予定していますが、もしご興味のある方は事務局までお問い合わせください。

平成最後の福祉・介護専門職プロ講座に寄せて【 福祉での「間違った面接」から変化を起こす効果的な面接を身につけるためには(その1) 】(4月20日)

こんにちは、堀之内です。

 先日、今期の「福祉・介護専門プロ講座」(全4回)第2回を開催しましたが、今期は平成から令和へと時代をまたぐ開催となりますね。長年続けてきた福祉・介護職向けのスキルトレーニングですが、毎回進化しているところもあれば、もうしっかり一つの学びのモデルとして確立されているところもあり、令和の時代を迎えても私はトレーナーとして揺るがずにこのスタイルでやっていくでしょう。

いつもと変わらず進めていく軸はありつつも、やはり私のトレーニングなのでお出で頂いた方のニーズに応じて、福祉・介護の世界にありがちな間違った努力を修正しつつ、プログラムはオーダーメイドで展開しました。

さて、この分野で”ありがちな”間違った面接というのはどういうことかというと、

●相手の愚痴を聞いてあげることが相談だと思っている(愚痴聞き症候群)

●相手からの質問に必ず答えを与えなくてはいけないと思っている(専門家だから症候群)

といったものです。

みなさんは、こういう面接が当たり前だと思っていませんか?

当たり前だから、そのやり方を続けておいでではありませんか?

では簡単な質問があります。

「本当にその面接で変化は起きていますか?」

なかなか変化がおきないな~、あぁ今日も長い面接だったな~、面接が疲れるな~、といったことになっていませんか?

それではまずくありませんか?

ならば、効果的なノウハウを身につける時期ではないでしょうか?

私のトレーニングにおいでください。

人の変化を起こす面接法をみにつけていただきます。

誰でも初めはビギナーです。成長のスピードも人それぞれです。そして誰にでも未解決な内的な問題はあって、それを解消しないとうまく聴けないということもあります。

しかし、トレーニングを継続していればうまくなります。

ただ、どういう面接がプロ面接か…を正しく手順を身につけなければ、どんなにトレーニングを積んでもあなたのスキルは正しく発揮されません。

<錆びついてしまった、私の面接>

 さて、久しぶりに私のトレーニングにお出でになった参加者の方が仰っていたのは、「錆びついてしまった」ということでした。<続く>

堀之内 高久

◆事務局よりお知らせ①◆

福祉・介護専門職プロ講座」は全4回のシリーズですが、各回ごとのご参加が可能です。

 お申込みは こちら からお願いします。

■対象となる方

 福祉・介護領域の対人援助職で、特に日常業務で人材育成に携わっている方にお勧めです。

■日程(時間はすべて10時開始~16時終了)

 第1回 3月16日(土)※終了しました
 第2回 4月13日(土)※終了しました
 第3回 5月11日(土)
 第4回 6月15日(土)

■会場

 品川区立総合区民会館きゅりあん
   JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線 大井町駅下車。徒歩1分

■受講費

 全4回 105,300円(税込)
  1回   31,320円(税込)

◆事務局よりお知らせ②◆

今年もBeingワークショップを7~8月にかけて

   全国5ヶ所(雫石、箱根、宮崎、  淡路、広島)で開催いたします。

すでにお申し込み受付を開始しております。

詳しくは こちら をご覧ください。

※お陰さまで宮崎会場はすでにお申し込みが定員に達しました。キャンセル待ちとなっておりますので、ご了承くださいませ。

◆事務局よりお知らせ③◆

『援助専門家向け研修』の開催が決定しました。

5月18日(土)に大分で開催します。詳しくは こちら をご覧ください。

平成最後の福祉・介護専門職プロ講座に寄せて【 福祉での「間違った面接」から変化を起こす効果的な面接を身につけるためには(その2) 】(4月20日)

 福祉・介護の世界で生きていると、周りでなされている面接は”相手が変化するお手伝い”とはかけ離れたものばかりだと思います。

 その中の職員はそれでいいと思っているし、”問題を解消し、変化を手伝うための面接”をする真の専門職に対して非合理的な非難を浴びせたりもします。

 トレーニングで一定のレベルに達しても、職場でそういった圧力があると、どうしても多数派に同調せざるをえず、そして身に付けた本来のスキル、力を知らず知らずのうちに封印し、そして忘れてしまうのです。力あるものは、頭をたたかれますと、力を出さなくなります。

 私はこんなふうにみなさんにお話ししました。

 高速船というのは海にいる間は、船体にどれだけフジツボだとか色んな付着物がついているかどうかというのを伺い知ることができないそうです。ドックに戻り、海から上げてみて初めて把握できるものだ、と。

 面接のスキルも高速船と同じです。どんなに上達しても、それを維持できているかどうか確認する”ドック”の場がなければ、自分のスキル劣化がわからない。

 所属先が自己成長モデルの集団で、『福祉面接症候群』に侵されていないのであれば結構ですが、実際に私のトレーニングにお出でになるみなさんは孤軍奮闘の日々なわけです。

 だからこそ危ない。

 上級者のみなさんもご自身のメンテナンスとして継続的にお出で頂きたいものです。

 30余年、トレーナーとして多くの業種、さまざまな年齢・キャリアの方とお会いしてきました。

 そういった所属先のジャンルを問わず、上達する人というのは共通点があります。

 上達するのは、素直に真似る、教わったことをやってみる、という姿勢の方たちです。「守破離」の”守”が第一歩であり、さらに大事なことは、”型”を身につける、基本を徹底して身につける、ということです。”破・離”はそれからです。得手勝手ではいけません。

 そういう得手勝手な面接ではお手伝いするお相手の方が問題を解消されてらくーになる、とか、人生の次のステップに進まれていくという現象は起きないということです。

 こうやって文章で私の考えを知り、理解・納得されるという学びもありますが、面接のスキルというのは面接場面の再現で身につくものです。トレーニングでは私がライブでスーパーバイズをしますが、それはどういうことかと言うと、ロールプレイ中にトレーナーが「こう言ってみて」と実際にクライエント役の方に発する言葉かけを私がやって見せ、それをトレーニーである面接者役の方が真似て頂きます。面接の”感じ”を直に捉えてもらうものなのです。

 自分だけでなく、他の参加者がスーパーバイズされているところを観察して学習するというのも大変有意義です。ぜひ、相手が問題を解消し、変化・成長されるような面接というのはコレなんだというのをしっかり身に付けて、あるいは思い出してお帰りください。

 面接のスキルは、本や解説や大学・専門学校などの教材演習では、まったく身につかないのです。身につくのは、やってみる、やってみせる、という体験型だけです。

ご参加のみなさんは、また来月もお会いしましょう。

 堀之内高久

◆事務局よりお知らせ①◆

福祉・介護専門職プロ講座」は全4回のシリーズですが、各回ごとのご参加が可能です。

 お申込みは こちら からお願いします。

■対象となる方

 福祉・介護領域の対人援助職で、特に日常業務で人材育成に携わっている方にお勧めです。

■日程(時間はすべて10時開始~16時終了)

 第1回 3月16日(土)※終了しました
 第2回 4月13日(土)※終了しました
 第3回 5月11日(土)
 第4回 6月15日(土)

■会場

 品川区立総合区民会館きゅりあん
   JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線 大井町駅下車。徒歩1分

■受講費

 全4回 105,300円(税込)
  1回   31,320円(税込)

◆事務局よりお知らせ②◆

今年もBeingワークショップを7~8月にかけて

   全国5ヶ所(雫石、箱根、宮崎、  淡路、広島)で開催いたします。

すでにお申し込み受付を開始しております。

詳しくは こちら をご覧ください。

※お陰さまで宮崎会場はすでにお申し込みが定員に達しました。キャンセル待ちとなっておりますので、ご了承くださいませ。

◆事務局よりお知らせ③◆

『援助専門家向け研修』の開催が決定しました。

5月18日(土)に大分で開催します。詳しくは こちら をご覧ください。

平成最後のいきいき塾に思うこと(その1)(4月22日)

こんにちは、堀之内です。
みなさんご承知の通り今月で平成は最後です。大きな時代の移り変わりを感じられていることと思います。

そんな移り変わりを目前とした中で、平成最後のいきいき塾を先日開催しました。
いつも会員の皆様に事前に開催のご案内メールを差し上げていて、私が取り上げようと思っているトピックについて、エッセンスをお示ししています。

メンバーのみなさんは感度の良い方が多いので、私からのメッセージに反応され、そこからご自分の直近の課題を見直し、新たな問いを持って当日を迎えていらっしゃいます。

そして、私も歓迎しているのですが、当日を待たずにすぐに返信し、”知りたいこと”や、そのトピックにあった最近の社内事例を連絡してくださる方もいらっしゃいます。

毎回のいきいき塾が、限られた時間ながら豊かな凝縮された学びの場になっているのは、その場が始まる前からトレーナーである私と参加者の皆さんの意思が融け合っているから、というのもあるでしょう。

事前のご案内メールに、私は今回、こんな文章をお届けしました。

平成の自分ーこころの整理、そして、未来の一歩~喪失という時にしか得られない「チャンス」ということ~

 実は今回はいつもより返信が多かっただけでなく、いつもとは違った独特の反響があるように思いました。想像以上に、いきいき塾のメンバーが平成が終わるという象徴的な出来事に、ご自身の人生を重ねていらっしゃったということです。

 いきいき塾は経営者や幹部社員という組織を動かす立場にいらっしゃる方たちが、ご自身とその組織のために”いきいきと人生を生きるヒント”を差し上げる場としてやってきました。いきいき塾という名前の意図は、よく人生を生きぬき、よく日々を活きるということにあります。

 もう15年やってますから、スタートしたのが平成15年です。
 途中から加わった方もいらっしゃいますけれど、共通するのは昭和の終わりから平成時代に入ってからのこの30余年、みなさんは事業を起こす、あるいは継ぐという形でDoing・Havingで奮闘されながら生きる時期を経て、組織と部下を育てながらご自身が自己成長を続けるというBeingの課題に取り組まれてきたという、その生き様です。

ものすごい時代でした。時には翻弄されながら、道を外れるようなこともありながら、それでもBeingを求めて私の元にお出でになり、学ばれてこられました。

そうやってご自身の命そのものを捧げた時間、その時代が去っていくというは一言では表しきれませんが、やはり喪失感が湧くのは当然のこと。それでも時代を自らの手で畳まれるという陛下のお姿に触発された方も多かったように思われました。

時代は変わる。

そのときに私は何をいきいき塾で提供できるのか?

そう思って当日みなさんとお会いして湧いてきたのは、過去ー現在ー未来と成長を続け、移り変わる自分はいるけれども、一方でどのような自分になっても、第3層・第4層レベルが開発されたBeingによって支え続けられている…そんな確かさを味わって頂けるような誘導イメージのワークでした。

グループでの誘導イメージをやる時は、内なる賢者からメッセージを授かり、いつもですとそこから得られた安定感やパワーアップした感覚をアンカリングすることが多いですが。

 今回はみなさんの様子を拝見していて、もう一歩踏み込んだワークにしたくなりました。それで、何をしたかというと、授かったメッセージから触発されて、歌を作る(作詞)をして頂きました。

 ご自身で探り当て、創造されたオリジナルのアファメーションです。お一人の方に発表して頂いたら、どうしても全員の歌を聞きたくなって、シェアしてもらいました。

 トレーナーとしてお一人ずつの課題やこれまでの成長の道のりを存じ上げているだけに、胸を打たれる時間でした。トレーナー冥利に尽きます。

 変わっていく時代の自分。それでも人生は続き、さらに豊かになっていくこと。ここからさらに、もっと人生は深められることを実感される時間になったと思うのですが、いかがでしょうか。(続く)

平成最後のいきいき塾に思うこと(その2)(4月22日)

・・・・・・・・(前回からの続き)

 いつもと変わらなかったのは、私が用意してきたプログラム、資料はありましたが、やはり一旦いきいき塾という時間が始まってしまうと、もうすでに私の準備や意図に潜在的に参加者が反応され、私がお示しするときにはすでにプログラムを超えて、もう次のアクションが生まれている…という流れでした。

 たくさん資料は準備して、印刷してお持ちしているのですが…いつも結果的には即興ライブになるのがいきいき塾です。

それが自己成長モデルの集団の在り方だなと再確認しました。予定表通りの研修やトレーニングではなく、時代が変わっても私のスタイルはきっと変わらずこのまま”ライブ”でしょう。

「生き方”は誰でもビギナーです」

 私がいつも言っていることです。自己成長モデルであろうとなかろうと、いくら年齢を重ねようと、今・これからの人生をどう生きるかという針路については、私たち人間は誰もがビギナーです。

 例えばゴーン氏なんかは批判されたり、それみたものかと嘲笑されたりしやすい対象ですが、私はBeingの生き方への導きを得られず苦戦されていることに、心から同情するし、我々すべての人間に共通する「生き方はビギナー」という哀れみが湧いてきます。

 こういう発想はもう何十年もトレーニングでお伝えしていることなので、私にしてみると極々当然の感じがしていたのですが、今回のいきいき塾で、長く学ばれている参加者の方がしみじみと”いい”と仰られました。世間を騒がす方々を遠い存在と見るか、それとも身近なわたくしごとと、もしかしたら私もそうであったかもしれない、という視点こそ、人を生きるということと思います。

 これからますます自己成長モデルが受難の時代となっていくと私は考えています。現状維持モデルの人たちから足を引っ張られ、価値のある生き方への尊敬はますます乏しくなるでしょう。

 そして口ではああだこうだと文句ばっかり評論ばっかりのくせに、自分では何一つ動かない・変わらないという現状維持モデルの人間がはびこる社会になります。自己成長モデルであり続けることに風当たりが強くなっていくでしょう。

 でもそれではいけません。

 そういう風当たりに立ち向かっていくのは難儀なことでが、責任として自己成長モデルの方々は挑戦し続けなければなりません。それは、秀でたものとしての責務です。

 ただ、誰もが生き方はビギナーなのですから、苦労します。力に応じての苦労がやってきます。そのような逆風の中にある方のサポートしていきます。それが今回のいきいき塾を通じて感じたものです。今までも、そして、令和の時代を迎えても。

堀之内高久


◆事務局よりお知らせ◆

今年もBeingワークショップを7~8月にかけて全国5ヶ所(雫石、箱根、宮崎、淡路、広島)で開催いたします。

すでにお申し込み受付を開始しております。

詳しくは こちら をご覧ください。

※お陰さまで宮崎と広島会場はすでにお申し込みが定員に達しました。キャンセル待ちとなっておりますので、ご了承くださいませ。

「第一期 0.5歩サーバントメンター講座」全クール終了しました。(その1)(5月4日)

サーバントでなければ部下育成は困難ということ

 こんにちは。堀之内です。

 平成最後に新しく開講したシリーズ、「第一期 0.5歩サーバントメンター講座」が先日、全プログラムを終了しました。

 ご参加の皆様がそれぞれにパワーアップされた姿に、私もとても満足しています。

 組織の幹部、管理職の方々に向けの面接スキルを上げるためのトレーニング内容という点では、私がこれまで継続して開催してきた講座の通りです。

 新しく加えたことは、「サーバント」という要素をより積極的に実践していくための工夫です。

 その一つがまず、小グループを社内のチームに見立て、自分(たち)が必要としているトレーニングプログラムを考えるという取り組みです。「学習する集団になる」というプロセスを疑似体験して頂けたと思います。

 組織のリーダーの成長し続ける姿勢を見せるだけでは無理

 メンバーに浸透していくというのは、かなりの工夫と時間がいるはずです。チーム全員が自己成長モデルという集団はなかなかなく、これからはさらに部下育成に中小企業は苦しむはずです。

 では、どうしたら「学習する集団になる」ために、どうしたらいいのでしょうか?

「第一期 0.5歩サーバントメンター講座」のようなトレーニングにいらして頂いて、社外での疑似チームでそのイメージを先取りしておくと、自社の本当のご自分のチームに戻ったときにメンバーをリードしやすくなるのです。

 私がこれまでお手伝いしてきた組織のいくつかでは、社内でこのような「学習する集団」としてチームが成長してきています。そのために必要なことは、まずリーダーが学習の方法を学ぶ必要があります

 組織ごとに規模や社内事情等の条件が違っていますが、まずリーダーたちがそのプロセスを辿れるように、この講座ではお手伝いができたと思います。たいていのセミナーは意識的学習ですが、本講座では、無意識的な学習をも意図しつつ、知らず知らずのうちにできるように深く学ぶという学習もなされました。…(続く)

「第一期 0.5歩サーバントメンター講座」全クール終了しました。(その2)(5月5日)

従来型講座の限界

 ところで、「リーダーはこういうふうにしなさい」という知識習得型講座やセミナーでは、「よ~くわかったような気にはなれますが、会社に戻って自分のチームを目の前にすると、何をどこからやったらいいのかさっぱりわからない」はずです。

 私のトレーニングでは、自分に必要なトレーニングを「考えてごらん」と言われ、ああだろうか、こうだろうかと「???」を思い浮かべながらも、まずやってみる。そして、ああ、これでよかったんだと思ったり、もうちょっと別のことをしたくなったり、気づきがあって、そして「次はこれをしたい、知りたい」が明確になっていく。右脳と左脳が同時進行していて、とてもクリエイティブな時間です。

 セオリー通りに物事を進めていくのは、「自分は今、正しいことをやっている」という満足はあっても、それが本当にチームをクリエイティブにするとは限りません

 一方で、右脳と左脳が呼応しあって生み出されていくプロセスは、どこか不確定要素があるような感じがしたり、あとから理論づけて説明するのが複雑だったりはしますが、「これでいこう」「これでよかったんだ」という確信が積み重なっていくはずです。

 流動的な現実社会でチームを運営しきるためには、こういった感覚的な部分を鍛錬して、今の自分(たち)にはコレだ!という直観的確信をもって進むセンスが大事なのです。だから、私の新しい講座では、これを存分に体験して頂き、その体験を元にして自社での実践につなげていってほしいと思っています。

今回の講座内でもサーバントリーダー論についての記事を一つ、批判を込めてご紹介しました。

日本経済新聞「従業員視点の新リーダー像」2019年4月12日付朝刊, 電子版

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO43619610R10C19A4KE8000/

 (実によくまとまっていて、わかりやすくこれからのリーダーのあり方を示しているのですが・・・)

 私はサーバントリーダー論について色んな資料を目にしていますが、残念ながら私自身が納得できるものはこれまでほとんどありません。この記事だけではなく、ほとんどの論文・記事において著者・筆者らの主張は理論や理念にとどまり、状態像の数的把握に過ぎず、「じゃあサーバントリーダーをどのように育成するの?」を示していないからです。

 私は多くの経営者・幹部社員のメンタリングを通じて、いかに人は組織の中でサーバントとなりうるか、お手伝いをしながら実際に目にしてきました。そして、この講座の名前にもしましたが、サーバントリーダーに必要な一番のトレーニングは、メンターとしての力を磨くことだと確信しました。…(続く)

「第一期 0.5歩サーバントメンター講座」全クール終了しました。(その3)(5月6日)

サーバントリーダーからサーバント・メンターということ

 サーバントメンターはただのリーダーと何が違うのか。

 サーバントという語が表すのは、チームとメンバーに対して奉仕できるということです。チームとメンバーに対して、ご自身のパワーを与えることができる人です。

 では人はいつ、与えられる側から与える側になるのでしょぅか?

 人間は他の哺乳類と比較して、非常に未熟な状態で生まれます。すべてを与えられ、守られる存在として扱われます。次第に自力で移動したり、身辺のことができるようになったりして身体面の自立が達成されますが、それでも心理的な自立には時間がかかり、大人として社会の一員として仲間入りする段階でも”ビギナー”として一定の保護を受ける存在です。誰かから与えられ、導かれ、世話をされて過ごす時期です。

 いうなれば、心理的な自立もリーダーに引っ張られながら育っていくのですが、何時までも続けられるものではありませんし、続けてはだめだと思います。ある時は、今までと同じように一歩前から、ただ、それだけでは遠すぎて、0.5歩程度が望ましいと思うことから、また、一歩あとすざりしたというには下がりすぎで、0.5歩後ずさりして自立させていくということ、相手の0.5歩前後を自在に柔軟に動きつつ育てていくこと、これが21世紀リーダーに求められることと思い、0.5歩サーバントメンターと命名したわけです。

 社内でその時期をどう卒業し、”与える側”に育っていくのか。これからの組織の人材育成の鍵になるのが、ここだと思います。

 経営者・幹部職員向けのトレーニングにメンタリングを取り入れるのは、こういう視点から新しいリーダー像を考えるとき、とても妥当だと考えます。

 メンターは、まず相手の話を聴くことができるのです

 さて、そのスキルは座学で学ぶだけでは、身に付きません。

 実際に面接をして、ふりかえるという取り組みがなくては、まったく意味がありません。そうやって自分で自分の面接をふりかえり、どこができていたか、できていなかったかを考えられるようになる力も、話を聴くスキルに必要だと言えます。

 そうなるためには独学では限界があります。もちろん、一定のレベルに達して以降は自学自習の世界です。でも、初めは先人からの手ほどき、お世話が必要です。正しく自分が成長しているのかどうか、良質なフィードバックを受けていくと”面接がうまくいく”という実感が蓄積されていきます。そして、自分が成長しているところを、他の誰かが導いてくれていて、ケアされている・関心を持たれているというところが、組織全体が成長するような人材育成のポイントです。

 つまり、ていねいに扱われ、”十分に自分は与えられた”という真の体験を得られると、人は他者に対してそういうていねいな振る舞いができるようになるのです。支配型のリーダーの元ではその循環が絶対に起きないし、組織内のセルフケアの機能が育たないから、「学習集団」にならないのです。

  チームメンバー(従業員)は自分が与える側になることを求められていないから、いつまでも組織にぶらさがっていることを許されているのです。

 繰り返しメンタリングのトレーニングを受けていると、次第に自分をケアしてくれる人の視点や在り方をご自身の中に取り込み、自分で自分の世話ができるようになります。言い換えれば、自己内サーバント・メンターが育つためには、自己内に取り込むモデルとなるメンターなりリーダーなりが絶対に必要なのです。

そういったモデルとなるようなリーダーを育てるのが今の私の務めだと思っています。

一旦組織の中にサーバントメンター役割を果たせるリーダーが育ってしまえば、それが第一歩です。あとは組織内で展開して頂けばよいでしょう。

 今回、そういったリーダーがまだいない組織には「初めの0.5歩」、つまり組織に第一世代のサーバントメンターを移植できるよう、リーダーたちにその機能を持ち帰らせるためのトレーニングを実施しました。

 今期の受講者のほとんどがご感想の中で”自身の成長を感じられた”という点に言及されていました。他の研修でもアンケートを取ればこういうコメントは頂けるでしょう。ただ、私のトレーニングがそういった研修と一番違うのは、トレーナーからの質の高い世話を受ける経験。そして参加者間でのロールプレイやその他のエクササイズで、丁寧にお互いを扱い、扱われるという経験。それらの経験の上で受講者の中にミニ自己内サーバントメンターが成長しているというトレーニングの全体像を、トレーナーがしっかりと自覚しているということです。

 すでに時代は令和を迎えました。これからの成熟した社会のために私がするのは、成熟したサーバント・メンターたちを生み育てることです。

 今期の「0.5歩サーバントメンター講座」は終了しましたが、また秋に第二期を開講します。今回の受講者の皆さんの成長と成功を、そして新たにサーバントメンターに立候補される方々との出会いを楽しみにしています。

堀之内高久

「福祉・介護専門職プロ講座」~『福祉面接症候群』克服のために~(6月4日)

こんにちは、堀之内です。

 少し前になりますが、「福祉・介護専門職プロ講座」(全4回)第3回がありました。4回シリーズで、月1回ペースで開催していますが、各回ごとにもご参加いただいています。とはいえ、ほとんどの方が3回以上の受講なので、1か月ぶりや2か月ぶりということになります。

「面接の際の大切な質問」

人の変化や成長をお手伝いしていて、このように再びお会いしたときに、まず初めに必ずする質問があります。

<前回お会いしてから、どのような変化がありましたか?>

 これはとても大事な質問です。出会った時の最初の質問に、メンター(面接者)側の基本姿勢、理論的な立場といったものが示されます。

 人は何のために相談、面接するのでしょう?
それは、 自分が変化するためです。

 ですから、「変化」について聞くのです。

 よくある返事。「特に変化はありません」

 そのような時、どうすればいいのでしょうか?
「悪くなっていないということですね」と楔(くさび)を打つようにします。
ただ、この時、大事なコツがあるのですが・・・それは私のトレーニングに参加して学んでください。身につきません。

 大事なポイントは・・・
 自分が今、目の前の人とお会いしていることの目的を明確に認識することーそれは
 「すべてのスキルは、相手の変化・成長を阻む問題を解決するために使う。そのために今ここにメンターとして自分がいるんだという自覚を必要とします」

 私のトレーニングに興味をお持ちになったり、長年継続されている方は非常にこういった意識が高くていらっしゃる。大変結構なことです。

 さて、以前のブログでもお示ししましたが(こちら)、福祉や介護の分野では『福祉面接症候群』がはびこっています。

 具体的には、こんな具合です。

  • 相手の愚痴を聞いてあげることが相談だと思っている(愚痴聞き症候群)
  • 相手からの質問に必ず答えを与えなくてはいけないと思っている(専門家だから症候群)

どうしてこんなことになってしまうのでしょうか?
 ➀まず、人のお役に立ちたいという「自分満足」の欲求からくるものがあります。
 その人たちは、「聞いてあげる」という言葉を使います。
 聞いてあげるということはどういうことでしょうか?
 前提は、善意の高位置者(と思い込んでいるだけなのですが)であり、「あなた困った人、私、解決する人」という立ち位置にいます。ただ、地域によって、言葉の使い方にそのようなものは意図されていないかもしれませんが、私の理解は、前述したとおりです。 

ーならば、どうすればいいのか?
 ガイドとして、当事者の0.5歩前後に立ち、主人公である当事者の黒子として取り組むこと。そういうときに、・・・・してあげるということは生じません。
 危険な場合は、直面化(叱りつけることもあります、あなたほどの方が!!!と)し、安全となれば、愚痴話もかまわないということもあります。 

職業の性格からくるもの
 ・話を聴いて、情報提供し、解決アドバイザーとなるということ、すると、応じた知識を持っていなければなりません。役割は「アドバイス」が中心となります。必然的に情報を与えることになります。与えなければならない、となっていきます。
ーところが、情報を与えても変わらない利用者に出会っています。増えているはずです。うまくいかないとさらに情報を与えますが、うまくいきません。自分の仕事の役割を果たせず、落ち込むことになります。 

 それはあなたが問題なのでしょうか?
 そうではなく、仕事の情報提供者という役割は古典的な役割となっていることに気づかないでいることに問題があるのです。つまり、現在は、与えるのではなく、気づかせるということが仕事の中心となっている、役割の変化があるということなのです。
 福祉領域の対象者は、現状維持モデルや保護モデルに該当します。今困っていることを明確にし、明確にするだけで、道が開けます。その時、適切にねぎらい、自分のパワーを体感し、今日の一歩の希望を得る、という取り組みです。
 ですから、答えを与えるということではなく、答えを自らが導き出す、その力があり、一歩の希望を自らが作り出すという取り組みなのです。この理解がない場合、福祉面接症候群に陥っています。

[福祉面接症候群の背景]
 それは一つには感情労働ゆえの問題。相手に接しているとき、いくらプロとは言え生身の人間として湧いてくる感情が必ずあります。それを適切にコントロールする術を身に付けていないため、押さえつけて日々をやり過ごすものの、堪忍袋にも容量があります。一番怖いのは自分でも気づかぬうちに、特に怒りの感情を向けてしまうことです。極端なケースですと、福祉施設などでは利用者を虐待…という形で現れます。

「うちの施設はそこまでは…」と安心したい職員も多くいらっしゃると思いますが、ちょっと思い返してみてください。決定的な虐待とは言わないものの、どこかこうチクチクと意地悪な一言をつい混ぜてしまうという光景は割りと日常的に潜んでいるのではありませんか?

こういうふうに、怒りに無自覚でいるといつまでも解消せずに残りますから、その残ったものを”ちょっとした意地悪”とか”職務放棄”みたいな形で発散してしまうのです。

それは対人援助職、とくに福祉・介護分野をキャリアとして選択されている方の元々の特性によるものの影響が大きいのです。
 相手に尽くしたいという動機(相手に喜んでいただくことで自分の価値が高まり、生まれてきた意味が得られる、存在が感じられることを目指して)が高いので、援助職であるご自分が「十分に相手に尽くせた」という実感を得ることを目的とした面接になる危険性があります。

 そして、相手に尽くしたいという気持ちが大きければ大きいほど、拒まれたり、援助職側にとって理想でない形のサービスで終わってしまった場合に、不全感が強く残ります。その苛立ちに自覚がないと、知らず知らずのうちに誰かにその感情を向けて、無自覚な解消をしてしまうのです。

 その結果、私の経験から見て、福祉従事者の夫婦関係破綻、思春期の子どもの悩み・・・職場内恋愛問題となり、それがなんと多いことでしょうか? あなたご自身だけでなく、周囲にも多くいると思います。

 さらに利用者に暴力が向けられます(動画配信サイトもご覧ください>相模原殺傷事件を例にとって解説しています)。

ー福祉面接症候群からの脱却は、ご自身の未解決な感情に気づき、自覚的に解消する取り組みであり、スキルの鍛練と共に、そういった取り組みをご自分に課すことによって簡単にできることです。

 もうこういう面接はしたくないのに…というお気持ちで仕事に向かわれている介護・福祉職のみなさんが変化するためのお手伝いを私は今後も続けてますが、この手法を周囲や部下に教えていく次代の0.5歩サーバントメンター(管理職)の参加を願っています。

 この講座は今年度は残すところあと1回となりましたが、ふるってご参加ください。お会いできる日を楽しみにしております。

 堀之内高久

◆事務局よりお知らせ①◆

福祉・介護専門職プロ講座」は全4回のシリーズですが、各回ごとのご参加が可能です。

 お申込みは こちら からお願いします。

■対象となる方

 福祉・介護領域の対人援助職で、特に日常業務で人材育成に携わっている方にお勧めです。

■日程(時間はすべて10時開始~16時終了)

 第1回 3月16日(土)※終了しました
 第2回 4月13日(土)※終了しました
 第3回 5月11日(土)※終了しました
 第4回 6月15日(土)

■会場

 品川区立総合区民会館きゅりあん
   JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線 大井町駅下車。徒歩1分

■受講費

 全4回 105,300円(税込)
  1回   31,320円(税込)

◆事務局よりお知らせ②◆

今年もBeingワークショップを7~8月にかけて

   全国5ヶ所(雫石、箱根、宮崎、  淡路、広島)で開催いたします。

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※お陰さまで宮崎会場はすでにお申し込みが定員に達しました。キャンセル待ちとなっておりますので、ご了承くださいませ。

「福祉・介護専門職プロ講座」今期終了しました(7月5日)

継続こそ力となる

 こんにちは、堀之内です。

 「福祉・介護専門職プロ講座」全4回が終了しました。
ご要望により次期は10月から開催いたします。日程が決まりましたら こちら に掲載いたします。

  大ベテランの方も、初参加の方も、大きな学びを得られたことを私も嬉しく思います。
 私は面接のプロです。面接のプロとして、面接に必要なスキルが身に付くよう、磨かれるようにお教えしています。

  さて、それだけでは面接は上達しません。もう一つしていることがあります。
 世の中にはびこる面接には不要・有害な悪しき習慣、考え方のクセをやめるための指導もしています。
 その両面からの教えを素直に受け取られ、研鑽を重ねられている受講者の皆さんにあらためて敬意を表します。

  対人援助職、とくに福祉・介護分野の方々は面接が上達するために、どのような訓練を受けているでしょう?

 クライエントに共感しましょう…

 利用者さんに寄り添いましょう…

  こういった説明を受けて、「共感が大事なんだな」「相手に寄り添っていこう」という気にはなりますね。必要性は知るわけです。

 でも、具体的に面接のスキルとして何をどうやったらいいのか、教わったことがあるでしょうか。方法や手続きは示されたことがあるでしょうか。

 それは単なる理念です。多くの講師たちは理念を教えるだけで、それは私に言わせれば、受講者は唱える呪文を覚えさせられているようなものです。

 呪文を教わっただけで満足してはいけないのです。受講者もまやかしに注意しなくてはいけません。

  私は、まだ信頼関係が結ばれていない相手から「共感してます」とか「寄り添ってます」というように扱われたら腹が立ちます。それ以上に虫唾(むしず)が走ります。

 それは面接者の目指している勝手な目標で、面接者側の欲求充足の道具にされているような感じがしませんか。

 面接で大事なことは、相談する側(利用者さま、クライエント)が「この専門家は私のことをわかってくれている」と確信できるようにすることです。

 上手な面接というのは、相談する側がそういうふうに相手を信じられるようになることを目指してかかわっているに過ぎないのです。

 援助する側には、相談者の悲嘆や過酷な経験を本当にわかるなんてはずは絶対にありません。「わかった」と思うとしたら、勝手にそのように推測しているに過ぎません。援助者の独断であり、思い上がりがあるということです。

 真に過酷な体験は、その当事者だけのものであり、他の誰にもわかることはないと思ってください。安易に「わかります」などと言われてはたまらないものなのです。

「私は相手をわからない」という前提があればこそ、わかろうとする最大の努力ができるのです。そしてその努力が相手に伝わると、援助者の懸命さに「あぁ、この人は、わかろうとしてくれている。力を尽くそうとしてくれている」という気持ちが生まれ、わかったもらえたという信頼感につながるのだと私は思います。

 ただ、その時、私には心に少しとげが刺さりますが…。

  信頼関係が結ばれるときに必要なのは、相手が援助者がわかろうとしてくれた、そして「わかってもらえている」という感覚だけでよいのです。

 だから面接で共感は必要ありません。「あなたが感じているように私も感じていますよ」なんていうのは、勝手な自己満足ではないですか? 私は共感は必要ない、と考え始めています。

 大切なことは、理解すること

「これほどの目に遭ったのなら、こんなふうに反応して当然だな…こういう経験、記憶があるのなら、こういう選択になるのは自然なことだな..」

 そういうふうに理解できるように援助者が質問の仕方を工夫して問題を焦点化し、その焦点化が進むためにねぎらいという手法を活用します。

 ペーシングスキルを使えば、面接のスタートのところの安心・安定感を築きやすくなります。でも焦点化の質問やねぎらいといったスキルは、使えば使っただけよい効果がもたらされるわけではありません。ここが間違いやすいところです。

 焦点化の質問やねぎらいといった言葉でのアプローチをしたときに、相手から反応(言語も非言語も)があります。それを聴いたり観たり身体感覚で感じたりして、「そういうことだったのか」と援助者自身が事情を理解できるようになるために使うものなのです。

「数撃ちゃ当たる」というものではありません。なんでもかんでも質問していくということではありません。ピンポイントで必要なことを的確に質問していくことが大事で、そうでないと、どんどん明確化とは反対に進んでいってしまいます。

 相手の大変さは時として語らずとも、たたずまいだけで感じられることもあるでしょう。でも、どういう事情があってこうなっているのだろうという経緯は全くわかりません。これが共感と理解の違いだと考えます。

 ペーシングだけしていても事情はさっぱりわからない。

だったら、と、やみくもに焦点化の質問やねぎらいをしたからと言って、相手が問題を乗り越えるために私が何をどう手伝ったらよいかが明確にもなりません。

 ただ対面して会っているだけでは理解には至りません。必要なのは解決に必要な情報なのです。

 ただ、ここでいう情報というのは、ドライブレコーダーで録画したような事実でなくてもよいということにも注意しましょう。

 面接に来られる方のお話というのは、人の記憶は完璧ではなく、往々にして正しいものではなく、事実とは違った情報を語っていることが多いのです。しかし、語りの中に出てくる感情の部分は、実際にあった通りに再体験しています。その方がその場面で何をどんなふうに味わったかが明確になります。

 援助者がこういう形の努力をすることで、同じような場面で同じような感情を味わえる可能性がある、その瞬間、変化の援助が生まれるのです。

<私は理解したい。どうかわかるように教えて下さい>というスタンスです。

 独り言・・・共感…共に感じる…僕は侮辱さえ感じる。

     「あんたなんかに何がわかる?」という感じがするんです。

 こういうことを考えていると、怒りが湧いてきます。どんな怒りか。それは福祉の分野のリーダー、教育者たちが、福祉を志す方々、福祉に携わる方々にきちんとスキルトレーニングをしていないことへの怒りです。スキルを与えずに現場に出すというのは、丸腰で戦場に送られるようなものです。利用者へのサービスの質の問題だけではないのです。援助者が自分の身を守るサバイバル方法を全く教わることなく、放置されているという現実です。「共感」「寄り添い」という言葉で片付ける無責任さです。

<福祉を担う若者たちの怒り>
 利用者を殴りたくなるような衝動を抱える若者に、そのサバイバルの仕方を身に付けさせていかなければいけないと私は思います。
 リーダーや教育者は、そういうことを教えられるようになってほしいと思い、この福祉・介護職向けの講座を続けています。

 <なぜ、講座を継続する必要があるのか?>
 トレーニング講座を受ける大きな利点は、自分は体系的な訓練を受けている、ということが大きな支えになっていることです。
 それが標準ではない福祉の人たちは日常どういう状態か…その人の人柄、熱意に頼っているだけです。じゃあそこに頼って、ずーっと頑張ってもらって、それが続けられるのか。そんなのは無理。頑張る人ほど疲れ、そして、去っていきます。

 それじゃあいけないでしょ、というのが私の考えです。

 組織の中で中堅~リーダーを担う人たちには面接が上達することも、面接を上達させることも求められます。私はその両方をこれからもこの講座でお手伝いしていこうと思っています。

 再会し、そして新しい出会いをお待ちしています。

<その道の達人になる秘訣は3つ!>
・継続すること。
・小さな苦行を取り組むこと。
・有能な指導者と出会うこと。
 あなたは、秘訣を身につける道を歩いておられますか?

◆事務局よりお知らせ①◆

福祉・介護専門職プロ講座」は2019年秋~2020年初春に開講予定です。

これまで通り全4回のシリーズで、10月・11月・1月・2月に開催いたします。各回ごとのご参加が可能です。

詳しい日程が決まりましたら、またHP(こちら)でお知らせいたします。

◆事務局よりお知らせ②◆

今年もBeingワークショップを7~8月にかけて全国5ヶ所(雫石、箱根、宮崎、  淡路、広島)で開催いたします。雫石は7/3-5で終了となりました。

すでにお申し込み受付を開始しております。

詳しくは こちら をご覧ください。

※お陰さまで宮崎会場と広島会場はすでにお申し込みが定員に達しました。キャンセル待ちとなっておりますので、ご了承くださいませ。

開講「第二期 0.5歩サーバントメンター講座」で目指しているもの —事業継承問題 解決の方法も含めて—(10月15日)

こんにちは、堀之内です。

 今年もBeingワークショップでは数多くの個人ワークをいたしました。第三層、第四層の開発。これからの時代を乗り切る自己成長は、まさにもうこれに尽きる、という境地です。
ご参加頂いたメンバーが新たなスタートを切られ、新しい展開をお見せになっています。大変結構なことです。  

 さて、そんなBeingワークショップを終え、「0.5歩サーバントメンター講座」の第二期を開講しました。
 再受講者もいらっしゃいますし、すでに私の元で学ばれていて本講座に初受講という方もいらっしゃいますし、まったく初対面の方もいらっしゃいます。新しい顔ぶれで、第一期よりも多い受講者をお迎えしました。
 私の研修会ですから、テーマは変わらずサーバントメンターではありますが、当然ながらお揃いの受講者の顔ぶれを拝見し、進め方は都度オーダーメイドになります。

 今回は単なる組織の幹部、管理職というだけでなく、これから事業を譲ろうという経営者、すでに譲り受けた後継者、後継の準備に入っている方々が多くいらっしゃっています。

 事業継承には経営者・後継者だけのもののように思われやすいですが、実は違います。心の第三層、第四層レベルでは社員全員がかかわってくるのが事業継承です。だからこそ、経営者・幹部社員は第三層、第四層の開発というテーマに取り組み、研鑽されている必要があります。

<改めて心の三層・四層理論の説明>
 色々な場所ですでにお話ししているので繰り返しになりますが、第三層レベルは愛がテーマです。

 愛などと言われると何か壮大なイメージを抱かれる方もいらっしゃるでしょうし、人によって定義は様々です。ここでいう第三層での愛というのは、簡単にいうと他者への関心を向け続けていくということが核となります。他者とかかわり、相手を知ろうとし、知っていこうとする努力を言います。そのことを続けるということには、意志が必要となります。この意志とは、命をかけるほどのものをいい、弱いものではありません。命がけのもの…ということになります。簡単に言うと覚悟といったものになります。

 ところが、この他者とかかわろう、知っていこうとすることが過度になると、人の心に何が現れるでしょうか? 

 自分の心の影(シャドウ)の部分です。Doing、Havingのレベルを様々に体験し、第三層のBeingレベルに差し掛かると、自分の中にあるネガティブな要素といっぱい対峙せざるを得ないことが、周囲からもたらされます。誠意を持って対応したのに、裏切られる…。思いもかけないところから心が刺される…。 

 それは第三層というレベルに到達したからこそ…のものでもあります。鍛練され、セルフが開発されたからこそもたらされるものであり、見えてくる景色です。家庭でも仕事でも、深く相手とかかわる力を身に付けたからこそ、自分にも他者にも、そしてこの世界にある“見ずにいたい”ような影の部分に光が当たり、“ああ…”と声をあげたくなるような、今まで見えなかった部分が見えてくるものです。

 このレベルで留まり、あれこれと悩み続けることはムダである、と私は考えます。このときこそ、第四層を開発すればいいではないか!と奮起していただきたいのです。

 これは苦しいステップではあるけれども、実は第四層に進むための必須要素であり、心の第四層開発の0.5歩を歩き出せ!というチャンスととらえていただきたいのです。

 この世の、自分や他者の心の中にあるどうしようもない影を「あるもの」として理解し、「私はそういうものだ」とわかった上でも心を安んじることができる力を内包していること、それが第四層なのです。

 心は千々に乱れても、それに気づきながら、同時に身体はデンと落ち着いている。そういう境地です。それを生かすことで、第一層・第二層は容易に自身の中から解決できるようになっていくものです。そういうもんだ、ワッハッハと。

 さて少しくどくなりますが…

<経営者・幹部社員に特有の心の苦労>

 経営者などの社会的成功を手にされている方々は、実に豊かなセルフをお持ちです。それゆえに第三層に達したときに出会う影も深い、とメンタリングでお手伝いしていて感じます。

 どうにもできない深い心の痛み。何とかしようともがく中で例えば出家するとか、田舎に引っ込んで自給自足暮らしを始めたりとか、そういった解決努力をされる方もいるでしょう。私はそういった形を取らずとも、経営者、あるいは組織を支える幹部としての自分を持ちながらも第四層のレベルで生きていくことをBeingワークショップでお手伝いしていますが…。

 古今東西の精神世界についての扱い方を幅広く学ぶと、一定の手順があることに気づきます。それを活用することで“俗世”のままでも、DoingやHavingのレベルもやりつつBeingレベルでの人生をやっていくということが可能です。

<今期内容の特徴>

  今期の「0.5歩サーバントメンター講座」では言わばBeingワークショップのミニ版を、経営者・幹部社員が“ミニ堀之内”となってメンターとしてリードできるような取り組みになっていくと考えています。

 なぜなら今、事業継承が難航している多くの組織を見ていて、足りないのは第三層・第四層レベルの鍛錬・発想だと思うからです。

<事業継承は影を引き継ぐこと、新たな影が形をあらわれ出すこと>

 事業継承、代替わりを思考・感情・行動レベルで「そうだ、こうやっていこう」と決めたとしても、人間の深層心理はそうはいかないわけです。

 先代から引き継いだときから、あるいはもっと前からくすぶり続けているテーマ。そして今いるメンバーたちが自覚せぬまま抱くテーマ。それらが交錯し、大きく顕在化するのが代替わりのときなのです。言わば“集合的なunfinished business(未解決な課題・わだかまり)”と言ったことでしょうか。 

 注意すべき点は、こういった渦に巻き込まれるというのは、代替わりの当事者だけでなく、組織の全メンバーであるということです。一般の社員にとっても事業継承の場に立ち会うというのは、無自覚・無防備なままだと自分の影が刺激され、思ってもいないような、いわゆる「魔が差す」というような言動という形で現れてしまうことがあるのです。わかりやすく言うと横領とか不倫とか、Doing・Havingレベルで頑張ってきたのに何か満たされなくて暴走してしまうというような現象です。

 そのことに気づき、そして前もって自分の影の取り扱いを経験しておくことを私は強くおすすめしたい。
 そして、その経験を部下や自分の後ろに続く方々ができるようなお手伝い(サーバント)ができるような人が育っていかれることを願っています。私も今期、そのように尽力していく所存です。

堀之内高久

◆事務局からのお知らせ◆

「第三期 0.5歩サーバントメンター講座」を2020年春期に開講予定です。

 ご興味のおありな方は早めにお問い合わせ下さいませ。

理不尽な福祉現場、居心地のいい福祉現場 —それを左右するのは?—(11月5日)

◆事務局からのお知らせ◆∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥

2019年下期の「福祉・介護専門職プロ講座」開講中です。全4回で、残りの開講は3回です。各回ごとの受講が可能です。
こちら からお申し込み下さい。

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こんにちは。堀之内です。

 長年、福祉・介護を中心に対人援助職のプロのみなさんのトレーニングをしていて思うのは、本当に理不尽な現場が多いということです。

<理不尽な現場は今も続き、これからも続く>

 私の元で勉強されて腕を磨き、利用者へのサービスはもちろんのこと、組織を束ねる立場としても活躍されているベテランも受講をリピート頂いていますが、「福祉・介護専門職プロ講座」でお目にかかるたびに私は“福祉現場の変わらなさ”に残念を通り越し、辟易しています。

 ご自分の時間を割いて研鑽に努めている方々がなぜか職場で冷遇されたり、非難されてしまう。ここ15年ほどビジネスの世界に身を置く方々のお手伝いをするようになって、余計に福祉現場の理不尽な構造が目に余る、そういう感じがしているところです。

 ビジネスの世界の方は、私の元で勉強され、身に付けたものをすぐに使って色々な形で成果をあげていらっしゃいます。

 学びをお客様へのサービスのあり方に反映され、顧客満足や売り上げをアップさせたスタッフ。学びを部下指導や組織のあり方に反映され、スタッフがよりよく活躍し、離職率の抑制に成功された経営者や幹部社員。そういったご報告を受けるたびに、私は私が提供してきたトレーニングの有効性に「やっぱりこれだ」と確信を重ねています。

 ところが、福祉現場からは中々そういった成功が聞こえてこない。

 もちろん受講される方は面接練習からBeingまで多岐にわたる学びの中で、ご自身の未解消な課題(unfinished business)を解消されながら、同時にそういった援助を利用者に提供できるようにスキルを身に付けられています。確かに上手になっているのです。身に付いていないわけではないのです。

 なのに、職場へのストレスがなくならず、職場からの評価にも満足がいかず、理不尽さを感じながら日々過ごしていらっしゃる。

 なぜ同じように学び、同じように成長されていて、同じように貢献しているのに、身を置く世界が違うとこんなに理不尽なのか。私はやはり福祉・介護の世界のある種の不健全さあると思います。

 その理由として、福祉の現場にはどういう人が集まっているか、集まってくる人に、私の問題発生率の式で説明すると、まず、分母の1つである“自己尊重”に特徴があります。

 人はいろいろな形で自分の自己尊重を保ったり、高めたりすることをしています。福祉・介護の世界に来る方たちは、

「誰かのお役に立つ」ということで自己尊重を得ようとしていることがとても強く、相手の評価によって自己尊重がエレベーターのように上下に揺さぶられる傾向が著しく強いのです。

 誰かの役に立っているという形がないと、自分の価値を認めにくいという状態にあり、それは長年にわたって続いている、と思うのです。

 私はそういう自己尊重の保持や高め方がマズいとは申しません。 

 問題なのは、誰かへの援助を通じて

①肯定的な評価に自身が救われているということに無自覚だということ、

②極端な言い方をすれば、相手の喜びを利用して自身の価値を確認し、自身を保ち、また高めている、ということである、ということです。

 そのことの無自覚さは、「あなたのために」こんないいことしているんだから、あなたは『私に』感謝すべきよ、という態度が生まれ、簡単に言えば、ふれふしなさい、言うことを聞きない、みんなと同じにしなさい、私の言うとおりにしなさい!ということを対価として求めることが起きると思っています。

 そうならないためには、「私の」行動に対して、お金という対価があることがとても大事なことに思えるのです。それが対等な位置関係にある、人を大切にしていることに思えます。

 言ってみれば、私はいいことをしているんだから、いいじゃない!! ということではなく、「仕事」をしているんだから、応分の対価としてお金をいただきますということが最も大切なことであり、自己尊重を保つために、利用者を活用するということばない、と思うのです。

 さて、誰かの役に立っていたい、そうすることでしか自分の自己尊重を高められない人たちの集団で、自己成長モデルの人が自己研鑽を重ね、スキルの面でもBeingの面でも成長を続け、「利用者・同僚の役に立つ」というふうになってくると、何が起きるでしょうか?

 自己成長モデルの人への攻撃です。職場の中で浮いてきます。

 自己成長モデルの人は、利用者にとって不快となるであろう事実も伝え、いいことはいい、だめなことはだめである、理不尽なことはNoである、という姿勢を持ち、そのことが、利用者を大切にする、平等な立ち位置での接遇であるという自覚があります。それが利用者や家族からも敬意を示され、『顧客』の信頼も篤いということに結果的になっていきます。

 「なんであんな冷たい態度をするなんて!  私たちが見なくて誰が見るんですか! 福祉のこころがないんですか!」と批判する人たちからみれば嫌なこととなります。

 なぜなら、利用者「」の満足こそが、私の自己尊重を高めることであり、利用者の不満足は、私の自己尊重を著しく低下させることであるからです。ですから、自己成長モデルの人の対応は、利用者の「不満足」をもたらすようにしか見えず、自分の存在を揺さぶる異分子としか見えなくなっていくのです。

 このような自己成長モデルの存在は、「福祉の自分」の価値を強く揺さぶり、自己尊重がそこなわれ、心理的な危機に陥ります。

 この“危機”というのが厄介なのです。

 冷静に考えられるならば、例えば「あ、自分もそんなふうによい援助ができるようになりたい」という発想が湧いてきて、研鑽の道に進めます。けれども、危機に陥っていると合理的な判断や見通しが難しくなるので、手っ取り早く自分の自己尊重を回復させるための策に飛びつきます。それが、「自分より役に立っている人を貶める」という手段となりやすいのです。簡単な方法で「うわさ話」というやり方です。

 あなたの職場はうわさ話の宝庫ではありませんか?

<居心地いい 福祉職場にするためには>

 さて、私のトレーニングの受講者は学びを重ね、着実によりよいサービスを提供できるようになってきているという実感があると同時に、そういう自分への職場の同僚からの反応に居心地の悪さを感じることになってしまうのだと思います。

  自己尊重を他(弱)者に依存しなくてはならないのは、それほどに『自分には価値がない』という自己像が根底にあり、深い悲しみをかかえていらっしゃるというのも事実です。必死のサバイバルでたどり着いたのが福祉・介護という世界。

 そういう入口があってもよいでしょう。ただ、居心地のよい現場にしていくためには、自己尊重の扱い方について気づき、未解消な課題に取り組み、ご自身が変化する必要があります。

 理不尽な現場というのは、3Kだからとか、命を預かるストレスが大きいからとか、人不足だとかが理由ではありません。不適切な自己尊重のあり方が離職や施設内虐待を引き起こしているのです。

 こういう理不尽な現場を変えていけるのは、施設長や管理職のみなさんだけです。

 座学の研修を受けたり、待遇やら何やらのことをやってみたり、もう手は尽くされているのではないでしょうか。問題はそれではなく、学びや成長に抵抗する勢力をどう扱うかなのです。

 福祉の世界にたどり着いて、スタッフとなられた方々の痛みをどう扱い、解消していくかを身に付ける。それができる施設長や管理職が機能している組織では、居心地のよい現場になっています。

 古い体質を変えていくというのは一仕事ではありますが、方法はあります。一緒に取り組んでいきませんか?

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